最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)39 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人小沢秋二の上告理由について。
賃料不払により賃貸借契約が解除せられた後に至り、解除前既に相殺に適した賃
貸人に対して賃借人の有する債権を以つて、賃借人に対して賃貸人の有する延滞賃
料債権を相殺した場合、右延滞賃料債権は、賃貸借契約解除前既に、対当額におい
て消滅したものとみなされるけれども、これがためその賃貸借契約解除を無効に帰
せしめるものでないことは、判例の示す所であり、(大審院大正九年(オ)第八九
五号、同一〇年一月一八日判決、民録二七輯七九頁、当裁判所昭和三〇年(オ)第
三三二号、同三二年三月八日、二小、判決、民集一一巻五一三頁)これ等の判例は
維持すべきものである。原審の所論法律解釈適用は、以上の判例に従つて居るもの
であつて、正当である。
而して裁判は、事実の認定及び認定せられた事実に対する法律適用の結果を示せ
ば足るのであつて、法律の適用解釈の論拠を説明するの要のないことも亦、判例の
示す所である。(大審院昭和一〇年(オ)第一、二九〇号、同年一一月一二日判決、
民集一四巻二一号一、九〇九頁)従つて、原審が法律適用の結果を示して居る以上、
その適用解釈の論拠まで説明しなかつたとしても、違法とはなし得ない。 されば、
原審に所論の違法を見出し得ないから、論旨はすべて理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 石 坂 修 一
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裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 高 橋 潔
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